2024年5月12日日曜日

(10)MYSTERY TO ME (1973/10/15)

 (10)MYSTERY TO ME(Reprise:K44248)1973/10/15










A)①Emrald Eyes②Believe Me③Just Crazy Love④Hypnotized⑤Forever

 ⑥Keep On Dancing

B)①The City②Miles Away③Somebody④The Way I Feel⑤For Your Love

 ⑥Why

結果的にウォーカーの脱退はバンドの音楽に統一感をもたらしました。メロディーはますます親しみやすくポップになりながらもブルーズ・バンド出身らしくそれ風の部分は残しています。前作同様ハンプシャーのベニフォールドにRolling Stones Mobile Unitを持ち込んでのレコーディングとなりました。久々に12曲収録となりウエルチが7曲書き歌います。

A①はアルバム・タイトルの一節が入ったやや重い曲。A④はマイナー・コードでバッキンガム・ニックス時代の初期、リンジーが歌っておりました。タイトなdsのイントロで途中までちょっとジャズっぽいムードある異色の曲。動画はバッキンガム・ニックス参加後最初期のライヴから。

A⑤は珍しくマクヴィー=ウエストン=ウエルチの共作でダンサブルなこれまた異色の曲。B①は後のパリスにムードが近い(イントロの変則スライドはウエストンでしょう)。トーキング調のB②はウエルチのダーク路線の曲。

B③はファンキー路線でウエストンの籠ったgが新境地。英米でシングルとなった(日本盤も久しぶりに出た)B⑤はヤードバーズで知られるグラハム・グールドマン曲。なんとしてもヒット曲が欲しかったのですがこれも不発でした。

クリスティンは4曲書いて5曲で歌いますが、ソングライターとしてさらに充実の時期を迎えます。A②はMidnight Specialのライヴではイントロのウエストンのgソロが入るブギロック。


A③はキャッチーなメロディーがシングル向きだと思いますがセレクトされませんでした。A⑥はウエルチの曲ですが音域がクリスティン向きということで歌います。ちょっとディスコ風のarrですがメインのメロディーはそうでもないです。B④⑥の様なバラードはバッキンガム・ニックス時代に開花するポップなメロディーです。B⑥は短期間ですがライヴのレパートリーとなりました。

B⑤の代わりに”Good Things”という曲が入ったヴァージョンもあるのだとか。その曲は20年のリマスターでお目見えしたウエルチ曲で、のちにソロで再演。その際"Don't Wait Too Long”と改題されました。米67位まで上昇。

内容は充実しておりましたが、バンド内には不穏な空気があり、マクヴィーのアルコール癖、クリスティンとprodのバーチの不倫、更にミック社長夫人のジェニーとウエストンの不倫問題があり、これが米ツアー中に露見して10月のネブラスカ公演を最後にバンドからウエストンは解雇。バンドはツアー続行は不可能とするも、マネージャーのクリフォード・デイヴィスが、ツアーキャンセルによる賠償金を避け、別のメンバーによる偽バンド(Bogus Fleetwood Macと呼ばれた)を組ませ、このバンドとミック社長とでツアーを続行しようとしたが結局はキャンセルとなる。この偽バンドはストレッチと改名後一連の顛末を歌にして”Why Did You Do It?”としてリリースしヒットさせました。

結局は負債を負ったバンドはバンド名の権利を主張するマネージャーのデイヴィスと対立し法廷で争う形となり(最終的に解決したのは78年のことらしい)、このメンバーによるライヴや新作のレコーディングもストップさせられバンド最大の危機に陥ることになったのでした。


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