2024年5月11日土曜日

(6)KILN HOUSE (1970/9/18)

(6)KILN HOUSE(Reprise:RSLP9004)1970/9/18

A)①This Is The Rock②Station Man③Blood On The Floor④Hi Ho Silver

  ⑤Jewel Eyed Judy

B)①Buddy’s Song②Earl Gray③One Together④Tell Me All The Things You Do

  ⑤Mision Bell

グリーン時代末期に、いたりいなかったりが多かったスペンサーの事を3人目のgtrダニー・カーワンがどう思ってたのかはわかりませんけど、ロンドンの南、オールトン近くのメンバーが暮らしていた家(ミック社長がジェニー・ボイド(姉はレイラのモデルになったパティ・ボイドです)と70年6月に結婚式を挙げた)をタイトルにした「Kiln House」('70)です。

スペンサーのロカビリー〜ロックンロール好きが前面に出て、暗いムードもあったブルーズ時代とは少し変わっています。ジャケットのイラストは正式参加前(レコーディングには参加、ノークレジットですが)のクリスティン・マクヴィーが描いたもの。68年頃からまともにスタジオでのレコーディング・セッションに参加してなかったスペンサーの真意はわかりませんけど、ミック社長が喝を入れたに違いない。スペンサー好みのバディ・ホリー調のA①からはじまりますが、脱ブルーズロックとはいえブルーズを残した部分の演奏は多いです。 A②はスペンサーとカーワンが歌う派手さのないナンバーで、レコーディングに参加たクリスティン(イラストだけと言われてましたが)の声もしっかり聞こえます。PVはレコーディングセッションもとらえた貴重なもので、緑眩しいキルン・ハウス周辺の風景も印象的です。

またバッキンガム=ニックスがバンドに参加直後には、レパートリー不足ゆえ、昔の曲を歌ったりもしましたが、スティーヴィーがリンジーとのツインvoで歌われなかなかカッコイイと思います。レパートリーがそろってくると当然セットリストから消えましたが。


A④は
ジョニー・バーネット&ロックンロール・トリオの”Honey Hush”がオリジナルで、フォガットのカヴァー(ロックンロール・トリオの代表曲”Train Kept A Rollin'”のリフを盛り込んだ高速ハードロック化)も知られています。

英ではシングルが切られませんでしたが、米ではA⑤がカット(しかもリリースから4か月後)。しっとり始まるフォークロック風ですが力強く爆発するような歌声はカーワンです。なぜかオランダで2位になったのだとか。ちなみにタイトルのジュディ・(ウォン)はマックの事務所の秘書をやってた女性。A③B③のようなややカントリーテイストのある曲は意外にもスペンサーのペンによるものでハーモニーなどオールディーズのムード。後年発掘された「Madison Blues」(’)にはこのスペンサー期のスタジオ・ライヴが入っておりました。ややハードロックテイストもあるブルージーなB④ではノークレジットながらクリスティンのエレピがはっきり聞こえます。

”Tell Me~”の熱のこもった演奏

ラストのB⑤ではクリスティンのハーモニーがしっかり聞こえます、これはドニー・ブルックスで知られる60年のヒットのカヴァーでこの辺の好みはスペンサーですね。

英39位/米69位。とりわけ米でこれまでで一番売れた1枚でした。

71年1月のツアーからクリスティン・マクヴィーが正式メンバーとして参加するも、スペンサーはメスカリンの過剰摂取で不安定となり、脱退。そしてそのままカルト教団Child Of Godに拉致され(本人の弁に寄れば自主的に)マックを脱退。スペンサーの穴は急遽イギリスからグリーンを呼び戻すことでなんとかしのいだとのこと。ただ長時間のインプロヴィゼーションを含むショーは好評で懐が潤ったもののバンドはかなり疲弊したらしいです。


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